プレスリリース

音声翻訳の実用化を目指した国際研究協力体制を確立
-実環境でのデータ収集と評価に中国も参加-
(株)ATR音声言語通信研究所  平成12年10月11日

実用的な音声翻訳システムの実現を目指す国際研究協力コンソーシアムC-STAR III(注1) を立ち上げる会議が10月10日、11 日にATRで開催されました。
C-STARはこれまで二つの共同研究プロジェクトを成功させてきています。 まず第一期では国際会議の予約をタスクとした共同研究を1991年から1993年まで実施しています。 その最後、1993年には参加各国を電話回線で結んだ自動翻訳電話の国際実験に世界で初めて成功し、 いわゆる音声翻訳システムの実現可能性を実証しました。 続く第二期では旅行会話をタスクとして1994年から2000年までの共同研究を行い、 1999年には自然なことばで音声翻訳システムに話しかけて旅行会話を行う国際実験に成功し、 音声翻訳システムの実用可能性が大きく前進したことを実証しました。
今回開始する第三期では、近年のIT技術の著しい発展、また急速に進む国際化の中、 音声翻訳システム実用化への期待が高まっていることを受けて、 実際の環境で使用できる音声翻訳システムを目指した研究を推進することにしています。 今回の会議ではこの目標に向けた国際研究協力体制を確立しました。
今期の共同研究では実用化に不可欠な実環境での発話データの収集や実環境でのシステム評価を中心に行うことになっています。 このため、 各国の音声翻訳システムを接続して多言語の音声翻訳システムを実現するためのプラットフォームの作成を急ぎ、 来年秋にはこれを用いてデータ収集を始めたいと考えています。
 C-STARの組織は、 中核として活動するパートナーメンバーとワークショップに参加する一般メンバーからなっています。 第三フェーズでは、第二フェーズに引き続き、ATR(日本)、CLIPS(フランス)、CMU(アメリカ)、ETRI(韓国)、 IRST(イタリア)、カールスルーエ大学(ドイツ)がパートナーメンバーとして参加すると同時に、 第二フェーズでは一般メンバーであったCAS(中国)がパートナーメンバーとして参加することとなりました。
(株)ATR音声言語通信研究所 (京都府精華町 関西文化学術研究都市 国際電気通信基礎技術研究所内、社長 山本誠一)は、 中国を迎えていっそう強力になったC-STARメンバーと共同研究を行うことで、 音声翻訳システムの実用化に向けた研究をいっそう加速させたいと考えています。
(注1)C-STAR:Consortium for Speech Translation Advanced Researchの略。

図1.音声翻訳プラットフォーム 図2.音声翻訳国際研究コンソーシャム

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※(株)ATR音声言語通信研究所は、2001年に研究プロジェクトを終了しています。