プレスリリース

暗号を解読する鍵が盗まれない無線通信装置を開発
-送信しないで秘密鍵(パスワード)を共有する-

(株)国際電気通信基礎技術研究所  平成15年10月30日


(株)国際電気通信基礎技術研究所(けいはんな学研都市 社長 畚野信義 略称 ATR) の適応コミュニケーション研究所(所長 小宮山牧兒)と同志社大学工学部(教授 笹岡秀一)は、 暗号を解読する鍵が盗まれない無線通信装置を開発しました。従来、相手方に送信していた秘密鍵 (パスワード)を送信しないで相手方と共有できることが特徴です。 これにより、第三者に秘密鍵が盗まれることが原理的にありません。11月5日から韓国ソウルで開催される 「アジア太平洋マイクロ波会議(APMC 2003)」、 11月6日から開催される「ATR研究発表会」、 11月25日から大阪で開催される「近畿特許流通フェア」、 11月26日から横浜で開催される「マイクロウェーブ展(MWE2003)」にデモンストレーション展示します。

<背景>
無線LANの爆発的な普及に伴い、その盗聴防止(セキュリティ)への関心が高まっています。

<今までの問題点>
 無線LANの盗聴を防止するには、暗号を使う方法が現在ありますが、 暗号化した情報を相手方で復元してもらうには、秘密鍵を相互に送受する必要があります。 秘密鍵を送信する段階で、秘密鍵を第三者に盗まれる危険性があるので、 完璧に盗聴を防止することはできません。

<動作原理 > (図1)
◇ 親機:エスパアンテナを備えた無線LANアクセスポイント(サーバ)。
◇ 子機:通常の無線LAN端末(ユーザ)。

(図1)動作原理イメージ図
(図2)電波の可逆性
(往きと帰りで同じ経路を辿る性質)







親機から「エスパアンテナ」で複数の方向に電波を出す。


複数の経路からの電波干渉により、子機で
電波強度の「フェージング:(電波強度のゆらぎ)」が発生する。


この「フェージング」に基づいて子機で秘密鍵を作る。


電波には可逆性(往きと帰りで同じ経路を辿る性質:図2)が
あるため、親機では子機と同じ「フェージング」が発生する。


したがって、親機は子機と同じ秘密鍵を共有できる。


受信場所により「フェージング」が異なるので、第三者には同じ鍵が作成できない。

<技術的優位性 > 
 ☆ 秘密鍵自身を送受しない(空間に出さない)ので原理的に盗みようがない。
 ☆ 鍵管理のデータベースが不要

本件のATRに関する部分は通信・放送機構(TAO)からの研究委託「自律分散型無線ネットワークの研究開発」プロジェクトにより実施したものであり,同志社大学に関する部分は知的クラスター創成事業のネオカデンプロジェクトの一環として実施したものである。

≪展示予定≫
 アジア太平洋マイクロ波会議APMC2003 期間:2003/11/5(水)~7(金)
 会場:ソウル(シェラトンウォーカーヒルホテル) <http://www.apmc2003.org/>

 ATR研究発表会 期間:2003/11/6(木)~7(金)
 会場:ATR(京都府けいはんな学研都市) <https://www.atr.jp/>

 近畿特許流通フェア 期間:2003/11/25(火)~26(水)
 会場:大阪国際会議場 <http://satellite.nikkei.co.jp/events/tokkyo/>

 MWE2003 期間:2003/11/26(水)~28(金)
 会場:横浜パシフィコ <http://www.apmc-mwe.org/mwe2003/index.html>

問い合わせ先  (株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)
総務部秘書・広報担当 水神、北野まで  ℡ 0774-95-1114