プレスリリース

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[報道発表]
産学官コンソーシアムによる屋外アドホックネットワーク実験に成功
2005.3.16
アドホックネットワーク・プラットフォームに関するコンソーシアム

アドホックネットワーク・プラットフォームに関するコン ソーシアム(*1)は、固定の基地局やアクセスポイントを必要としない自律分散的ネットワークの実現を目指した研究開発を進めています。今回、新潟大学五 十嵐キャンパス(新潟市五十嵐二の町)において、産学官の体制で屋外アドホックネットワーク実験プラットフォームを構築し(*2)、通信実験を成功させま した。
アドホックネットワークは複数の端末が互いに中継することによりデータ伝送を実現し、携帯電話の基地局や無線LANのアク セスポイントのような既存のネットワークインフラが存在しない環境においても通信を実現する技術です。当コンソーシアムは、アドホックネットワークに関す る技術開発や運用ノウハウの蓄積を行い、それを基に国際標準化に貢献することを目的としています。
アドホックネットワークには、防災・防犯・災害時対策、環境・エネルギー対策、さらには高齢者介護・医療での応用など、多 くのアプリケーションが期待されています。これらアプリケーションを実現するためには、数百・数千のノード(中継端末)からなる大規模なアドホックネット ワークの構築、運用技術が必須となります。しかしながらこのような大規模ネットワーク環境では、ノードの移動や電波環境の変動により、周囲のノードとの通 信が不安定になるとともに、その影響がネットワーク内に広がることによりネットワーク全体の動作が不安定になる、と言われています。このような問題に対し て、これまで、シミュレーション等による机上検討や少数の端末を使った小規模ネットワーク実験による現象解明・対策技術の検討が行われてきました。しかし ながらこれらの検討では、実フィールドにおける大規模ネットワークの振舞いを十分には明らかにできていません。この課題を克服するためには、屋外実フィー ルドでの規模の大きな実証実験の実施が必要です。
今回、上記のような実用レベルの大規模ネットワークを実現するための第1歩として70台(固定ノード50台+モバイルノー ド20台)規模の実験プラットフォームを構築しました。今回の実験は既存技術をベースとし、ネットワークの不安定性を避けるための様々な工夫を施すことに より、国内最大となる70ノードのネットワークの安定動作を達成しました。上記のような数百・数千のノードからなる大規模ネットワークの実現に向けた最初 のステップとして、既存技術を用いたアドホックネットワークの実現性、および、今後の研究開発により克服しなければならない課題、などを明確にするのが今 回の実験の大きな目的です。
今後当コンソーシアムでは、今回の実験結果を踏まえ、よりノード数の多い実用レベルの大規模ネットワークの構築、運用技術 の研究開発・実証を進める予定です。それによりアドホックネットワークの実用化を推進するとともに、日本発のアドホックネットワーク技術を世界的な技術標 準とすることを目指していきます。
なお、3月17日には同キャンパスにおいて公開デモを実施する予定です。

大規模アドホックネットワーク実証実験デモ予定
2005年3月17日 15:40-16:10 於新潟大学五十嵐キャンパス

*1:アドホックネットワーク・プラットフォームに関するコンソーシアム
組織    委員長:新潟大学教授 間瀬憲一、事務局:株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)
設立    2003年12月16日
組織概要    アドホックネットワークの研究・開発を通じて、アドホックネットワークの普及・標準化を進めることを目的として産学官の機関により結成された 民間団体
参加機関    (産)メーカー・オペレータなど民間企業16、(学)大学関係12、(官)公的研究機関1
URL    http://www.adhoc-nwk-consortium.jp/
*2:今回の実験プラットフォームに使用するアドホックネットワーク・テストベッドは総務省・戦略的情報通信研究開発推進 制度の研究委託に基づき構築したものです。
 
<図1  アドホックネットワークの基本概念>
・コンピュータ・携帯端末が基地局やアクセスポイントを経由せず、直接無線通信をする。
・その場に集まった端末が協力して、バケツリレー形式(マルチホップ)でデータを転送する。
・これによって、直接電波が届かない端末にも、データを送り届けることができる。


<図2  実証実験構成>


<図3 新潟大学内装置配置図>
 (表示されているのは固定ノードのみ、実験時にはこれにモバイルノードを追加)
 

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