プレスリリース

ロボットサービスの可能性をトライヤルできる実証実験環境を
ユニバーサル・シティウォーク大阪TMに設置
-実環境の人々の行動や混雑する時間帯などをキーワードで検索可能に-


2008年1月22日
(株)国際電気通信基礎技術研究所

(株)国際電気通信基礎技術研究所(略称:ATR、代表取締役社長:平田康夫、京都府精華町「けいはんな学研都市」)は、ロボットがサービスする場所ごと の環境情報(人々の位置・行動、混雑する時間帯など)を取り出せる「環境情報構造化プラットフォーム」と呼ぶ、新しいネットワーク環境を開発しました。企 業や大学が様々なロボットサービスの可能性をトライヤルできる実証実験環境をユニバーサル・シティウォーク大阪(大阪市此花区)に設置し、1月23日と 24日に見学会を実施します。

ロボットが人々に道案内やお店の情報を提供するサービスを考えた場合に、まず、ロボットがいる周りの環境情報として、人々の「位置情報」、道に迷ってうろ うろしている、立ち止っているなどの「行動情報」などを知らなければなりません。単体ロボットの目(カメラ)や耳(マイクロフォン)だけでは、通りを行き 交う人々が重なって見えたり、聞こえてしまうので、これらの環境情報を正しく取り出すことには限界がありました。
ATRは、この問題を解決するために、環境側にセンサを設置して、ロボットがサービスするために知りたい環境情報を物理的な観測量だけでなくキーワードの 形式でもとりだせる「環境情報構造化プラットフォーム」と呼ぶ、ネットワーク環境を開発しました。開発したプラットフォームは、環境側に複数台のカメラや レーザ・レンジ・ファンダ、無線タグリーダなどのセンサ群を設置して、それらが協調・連携することによって、同時に10~20人の位置を観測して、数 cm~10cm程度の精度で三次元位置や軌跡情報などの物理的な観測量を保存します。しかし、これだけでは、その人がどのような行動をとっているかという 行動情報を得るには、ロボット開発者がデータ解析ソフトウェアを作らなくてはなりません。ロボット単体の画像処理や音声認識のソフトウェア以外にサービス する環境ごとにこのソフトウェアを作成するのは開発者にとって大きな負担になります。このプラットフォームでは、「うろうろしている」「立ち止っている」 などの人の行動パターンと、「この場所は午後5時から7時まで混雑する」などの場所(空間)特有の統計・履歴情報をそれぞれキーワードの形式で読み出すこ とができるので、この負担が軽減されます(人の行動パターンのキーワードを「行動プリミティブ」、場所特有の統計・履歴情報のキーワードを「空間プリミ ティブ」と呼ぶ)。しかも、環境情報は物理的な量と行動・空間プリミティブという質的データからなる階層的構造で表現されているので、ロボット開発者は サービスに応じて、これらの情報を組み合わせたソフトウェアを開発できるようになります。
従来からも、人の位置座標や行動・空間プリミティブを観測する方法は提案されていましたが、プラットフォームという形で実際の現場で長期的に設置してロ ボットサービスのトライヤルを行う場所はありませんでした。このプラットフォームが設置されたショッピングモールやアトラクション会場では、単体のロボッ トの知覚能力の限界を超えるだけでなく、いろいろなロボットが、この環境情報を共有して、互いに協調・連携する、新しいロボット・ビジネスを創出する可能 性がでてきます。
今回は、いろいろな年齢層が訪れるという点を重視して、ユニバーサル・シティウォーク大阪に実証実験環境を設置しました。22日の発表時には、具体的な人 々の動きに対して、これらのキーワードが現場でどのように取り出せているかをご覧いただきます。
今後は、ロボット・ビジネスに関心の高い企業や大学が様々なロボットサービスの可能性をトライヤルできるように、ロボットラボラトリー(大阪市北区)のご 協力を得て、実験場所の管理・運営体制を検討していきます。同時に、ロボットサービスに関連の深い他のネットワーク環境(ネットワークロボット技術、ユビ キタスネットワーキングシステムなど)との相互接続などを進め、ロボット・ビジネスを加速するためのロボットサービス実証実験の拠点作りを進めていきま す。
なお、本実証実験は、文部科学省の平成18年度科学技術振興調整費「科学技術連携施策群の効果的・効率的な推進」課題「施設内外の人計測と環境情報構造化 の研究」(実施機関:(株)国際電気通信基礎技術研究所、(独)情報通信研究機構)の一環として行うものです。ユニバーサル・シティウォーク大阪での実験 実施場所の提供に関しては、当施設を運営する住商アーバン開発(株)のご協力を得ています。

ユニバーサルシティウォーク大阪
ロボットサービスのイメージ
 図 1:ユニバーサル・シティウォーク大阪TM
(プラットフォーム設置場所) 

図 2:ロボットサービスのイメージ

環境情報構造化プラットフォーム

ロボットサービス

図 3:今回設置した環境情報構造化プラットフォーム
図 4:本プラットフォームを利用した
ロボットサービス


本件問合せ先:
㈱国際電気通信基礎技術研究所(ATR)経営統括部 広報担当 野間・福森
   電話:0774-95-1172・0774-95-1114 / FAX:0774-95-1178