Press Release

April 26th, 2012

声と鼓動で話し相手の存在感を伝える抱き枕型の通信メディア「ハグビー®」を開発
同時にハグビー開発者のデザイン展「H. Ishiguroデザイン展」を開催
株式会社国際電気通信基礎技術研究所

株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は、 遠隔地にいる相手の存在を強く感じながら対話することができる存在感伝達メディア「ハグビー®」 を開発しました。これまでに開発した「テレノイド® R1」(2010年8月報道発表)や「エルフォイド®P1」 (2011年3月報道発表)の研究開発を通して、これらのロボットを抱きかかえたり、 握ったりしながら対話することが、相手の存在感を強く感じる効果的な方法であることが分かってきました。 「ハグビー」は単純な形でありながらも相手の存在をより強く感じることのできる画期的な通信用メディアです。
 本開発を主導した石黒浩(ATR 石黒浩特別研究室 室長(フェロー)/大阪大学大学院基礎工学研究科 教授)は、 これまでに「ジェミノイド®」や「テレノイド®」など数々の独創的な研究成果を発表してきました。 これらの独創的なアイデアは、石黒浩本人の高いデザイン能力に支えられています。 ハグビー発表に併せて石黒浩デザインの根源とその発展を紹介する「H. Ishiguroデザイン展」 (主催:ATR、科学技術振興機構(JST)、ヴイストン株式会社、大阪大学)をヴイストン ロボットセンター東京秋葉原店(東京都千代田区外神田1-9-9 内田ビル4F) にて4月27日から5月27日の一ヶ月間開催します。展示物の一部はヴイストン株式会社から販売予定です。
 「ハグビー」と「H. Ishiguroデザイン展」に関する報道発表を、下記日時及び場所にて行いますので、 御参集頂ければ幸いです。

会場:ヴイストン ロボットセンター 東京秋葉原店
   〒101-0021 東京都千代田区外神田1-9-9 内田ビル4F
   Tel: 03-3256-6676/Fax: 03-3256-6686
   *アクセス JR・東京メトロ秋葉原駅(JR 秋葉原駅電気街口)より徒歩3分
日時:2012年4月26日(木)13:00より (12:30より受付開始)

(注)ハグビーの開発は、JST 戦略的創造推進事業(CREST) 研究領域「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」 研究課題「人の存在を伝達する携帯型遠隔操作アンドロイドの研究開発」
<研究代表者 石黒 浩 ATR 社会メディア総合研究所 石黒浩特別研究室 室長 (大阪大学教授),参画研究機関 ATR 社会メディア総合研究所 石黒浩特別研究室/大阪大学/鳥取大学> の一環として行われたものです。

存在感伝達メディア「ハグビー」概要>  通信メディアの研究開発の進歩に伴って、遠隔操作ロボットを通信メディアとして用いることで、 遠隔地に話者の存在感を伝えることができるメディアが登場してきました。 メディアに人型等の実体を持たせることによって、 遠隔地にいる相手が目の前に存在するかのように対話できる新たな通信様式が誕生しています。 ATR石黒浩特別研究室においても、人間の存在を伝達する新たな情報通信メディアを実現するために、 人間としての必要最低限の見かけと動きの要素だけからなる人間のミニマルデザインに基づく遠隔操作型アンドロイド「テレノイド」、 「エルフォイド」を開発してきました。これらの研究開発において、アンドロイドを抱きかかえたり、 握ったりしながら対話することによって聴覚だけでなく触覚も通して相手の情報を得ることが、 相手の存在感を強く感じる効果的な方法であることが分かってきました。この効果に着目すれば、 単純なデバイスで強い存在感を感じさせることができます。
 今回開発したハグビーは、抱きかかえた状態で対話する抱き枕型の通信メディアです。 本体はビーズクッションで、その形はテレノイドやエルフォイドと同様に人の存在感を効果的に伝える形状です。 これを抱きかかえた状態で、頭部のポケットに挿入した携帯電話を通して遠隔地の人と対話します。 さらに内部にバイブレータを備えており、 生物らしさや人の感情等を効果的に伝えることができる鼓動を再現した振動を発生します。 そして相手の声と同調して変化する鼓動の振動が、声による存在感を増強します (例えば相手の声の大きさに同調して鼓動の振動が強くなると、 相手の気分の高まりが声と振動で伝わり、より相手を身近に感じます)。 ビーズクッションの心地よい感触、相手を抱きしめている感覚、抱きかかえた状態で耳元から聞こえてくる相手の声、 その声に同調して伝わる鼓動を再現した振動によって、相手の存在を強く感じることができ、 また相手への親近感が強まります。声と振動のみの情報伝達でありながら、 人らしい存在感を伝達するための必要最小限の要素を具現化した画期的な通信用メディアです。 ハグビーは普段使用している携帯電話さえあれば、 誰でも簡単に相手の存在を感じながら対話することができる効果的な存在感伝達メディアです。 親しい関係の者同士、例えば、親子、祖父母と孫、夫婦、恋人同士、友人同士などの間での対話において効果的です。 ハグビーを用いた対話で、より親近感を増すことができると期待されます。 またコミュニケーション機会が乏しい人に対して、 コミュニケーションの動機やコミュニケーションの機会の増加をもたらすと期待されます。
 ハグビー(Hugvie)の名前は、Hug(英語で「抱く」の意味)+vie(フランス語で「Life」の意味)の造語で、 「命を抱く」という意味を持っています。まさに相手を抱きしめているという感覚をもたらすメディアです。
 今後、存在感を伝えるのにより効果的なバイブレーションについて研究開発を進めます。 さらに触覚センサ等を用いて話者の状態を計測し、 音声がなくともバイブレーション等で存在感を伝えるメディアへと発展させ、 存在感伝達の究極形の実現を目指します。 ハグビー(バイブレータなし)は販売を予定しています(バイブレータ付ハグビーの販売は計画中)。
 ハグビーの主な特徴は以下の通りです。
   ・誰もが簡単に使え、低価格で効果的なメディア
   ・人の存在感を効果的に伝え、かつ抱きしめて話しやすいデザイン
   ・相手を抱きしめて話している感覚をもたらす通話様式
   ・抱き心地のよいビーズクッション状の本体
   ・相手の存在をより強く感じることができる鼓動を再現した振動
 ハグビーの仕様は以下の通りです。
   ・全長:75cm
   ・重量:600g(バイブレータなし)
   ・表面素材:伸縮性生地(外装だけをクリーニングすることが可能)
   ・内部素材:発泡マイクロビーズ

<参考図>

上段左:ハグビー外観
上段中央:携帯電話を頭部のポケットに入れている様子
上段右:ハグビーを使って対話している様子
下段左:ハグビー内部概要
下段右:声とバイブレーションで相手の状態を伝えるイメージ図

「H. Ishiguroデザイン展」概要
石黒浩(ATR 石黒浩特別研究室 室長(フェロー)/大阪大学大学院基礎工学研究科 教授)は、 これまでにジェミノイド、テレノイド、エルフォイドなど数々の独創的な研究成果を発表してきました。 これらの研究では人間の存在を伝達するメディアを実現するために、 人間としての必要最低限の見かけと動きの要素だけからなる人間のミニマルデザインを追求しています。 すなわち、情報メディアのデザインそのものを研究していると言えます。
 本デザイン展では、石黒浩自身によってこれまでにデザインされてきたロボットや創作物の展示を通して、 来場者に石黒浩のデザインの根源と方針を、 研究者だけでなく広く一般の人々にも紹介し、石黒浩の研究活動をより深く知って頂くことを目的としています。
 本デザイン展はヴイストン ロボットセンター東京秋葉原店(場所は下記)の店舗内において、 4月27日~5月27日の1ヶ月間開催します。報道発表予定のハグビー(バイブレータなし) を含む展示物の一部はヴイストン株式会社から販売予定です。

デザイン展主催者
 ・株式会社国際電気通信基礎技術研究所
 ・ヴイストン株式会社
 ・科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 CREST研究領域「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」
 ・大阪大学大学院基礎工学研究科 石黒研究室

開催場所
 ヴイストン ロボットセンター 東京秋葉原店
 〒101-0021 東京都千代田区外神田1-9-9 内田ビル4F
 Tel: 03-3256-6676
 Fax: 03-3256-6686
 *アクセス JR・東京メトロ秋葉原駅(JR 秋葉原駅電気街口)より徒歩3分

開催期間
 2012年4月27日~2012年5月27日

以 上
 

※ジェミノイド、テレノイド、エルフォイド、ハグビーは(株)国際電気通信基礎技術研究所の登録商標です。

報道発表の場所とスケジュールは以下の通りです。

会場
 ヴイストン ロボットセンター 東京秋葉原店
 〒101-0021 東京都千代田区外神田1-9-9 内田ビル4F
 Tel: 03-3256-6676
 Fax: 03-3256-6686
  *アクセス JR・東京メトロ秋葉原駅(JR 秋葉原駅電気街口)より徒歩3分
日時
 2012年4月26日(木)
 <スケジュール>
 12:30 報道受付開始
 13:00 報道発表開始