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講演セッション
社長講演11月5日(木)
日本ICTの失われた過去20年

代表取締役社長 浅見徹

主として手書き情報交換だった日本は、1980年代から2000年にかけて、G3ファクシミリ、日本語ワードプロセッサ等の新技術の導入により、OAと呼ばれる事務作業の急速な「電子化」を達成しました。この結果、2001年には、多くの日本企業は、ネットワーク接続(Ethernetまたは無線LAN)したPC(Windows XPもしくは98)とプリンタ、それにコピー機、FAXと電話を使い、ソフトはMS Officeを使用するという日本の事務作業標準が確立します。

この年は、5年以内に世界最先端のIT国家となることを目指すe-Japan宣言が出された年ですが、ふしぎなことに、この宣言以後、日本のオフィスは全くと言っていいほど変わらず今日に至っています。コロナ禍で分かったことは、行政や企業の事務作業のデジタル化の遅れは目を覆いたくなるほどだということです。一方、この間のコンシューマ市場の変化は非常に大きなものがあります。

この講演では、この原因究明を試み、多様性を認めた21世紀型の社会構築について考えたいと思います。

テーマ講演11月6日(金)
アフターコロナ社会に向けた世界のイノベーション拠点・スタートアップとの協働

経営統括部・事業開発室 代表取締役専務 鈴木 博之

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡がりは、人々の働き方/生活様式に留まらず、社会の習慣/価値観をも含む広範囲かつ不可逆的な変化を引き起こすと想定されています。各国のスタートアップは、世界的な経済活動の急激な縮小という大きな逆境の中での生き残りをかけると同時に、アフターコロナ社会に必要なイノベーションに挑戦しています。

ATRは、海外のイノベーション拠点との連携によるグローバルイノベーションネットワークを構築し、独自のアクセラレーション(KGAP+)や企業とのマッチング(KOSAINN)等のプログラムを通じて国内外のスタートアップへの支援を行っています。

本講演では、ポストコロナ社会に向けたいち早いイノベーション創出とスタートアップ支援を目的として、イスラエル、インド、ニューヨーク、カナダ、香港、バルセロナのイノベーション拠点との協働により実施したwebイベント(KGAP+ Special Edition)について紹介します。

アフターコロナ社会における脳・行動情報を活用した精神疾患へのアプローチ

認知機構研究所 数理知能研究室 主任研究員 酒井 雄希

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行は、私達の生活に大きな変化をもたらしました。皆様も大幅な生活変化に伴い、様々なストレスを感じられることが多かったかと思います。こういった変化は、もともと精神疾患をお持ちの方々により大きな影響を与えていることが次第に明らかになってまいりました。例えば、長時間に及ぶ手洗いなどが主症状の強迫症において、COVID-19の対策前後で症状の増悪がみられたことが報告されています。また、うつ病や双極性障害(躁うつ病)といった気分障害においても、抑うつ症状の増悪が報告されてきております。ATR脳情報通信総合研究所は、以前から脳・行動情報を活用した精神疾患バイオマーカーの作成や治療開発、精神疾患の計算論モデル創出に力を入れてまいりました。本講演では、アフターコロナ社会においてより一層の対策が必要となってきている精神疾患へのアプローチをご紹介いたします。

人のインタラクションを深化させるサイバーフィジカルアバター技術
~コロナ禍での「ありたい社会」を創るために~

インタラクション科学研究所 所長 宮下 敬宏

コロナ禍によって、人々の暮らしが変わりつつあります。新型コロナウイルスの感染拡大の予防策として3つの密(密閉・密集・密接)を避けることが新しい常識となり、人と人の直接的な触れ合いが憚られる雰囲気さえも醸成されています。しかし、社会的な生物である人間は、本質的にこのような環境変化に対応することが難しく、様々な社会的・経済的問題が顕在化しつつあります。私たちの研究グループでは、このような3つの密を避けつつも、人と人の社会的なインタラクションを可能にする技術、サイバーフィジカル(Cyber-Physical, CP)アバター技術の研究開発をしています。ここでCPアバター技術とは、物理的な空間のロボットやコンピュータ上のソフトウェアエージェントで構築する自分の分身(化身、アバター)を遠隔操作する技術を指します。本講演では、CPアバター技術に関連する研究開発成果を紹介し、これらの活用によって創りうる「ありたい社会」について、みなさんと一緒に考えます。

5Gによる地域課題の解決 ~次世代通信技術のポテンシャル~

適応コミュニケーション研究所 所長 横山 浩之

我が国でも第5世代(5G)移動通信システムの商用サービスが本年から始まりました。5Gは、高速大容量、低遅延、多接続といった技術的特徴によって、4Gまでの移動通信サービスをさらに高度化させると共に、これからの産業や社会を支える基盤技術として、新たな価値を提供することが期待されています。ATRは、5Gの商用化に先立って、2017年度から2019年度までの3年間、全国7か所の現場で5Gの有効性を実証するフィールド試験を実施し、5Gがどのように地域課題の解決に役立つのかを、多くのパートナー様と共に検討してきました。その結果をご紹介すると共に、アフターコロナ社会における5Gのポテンシャルについて解説します。

ATR CALLが支援するオンラインでの外国語学習 ~学びを止めないために~

ATR Learning Technology 株式会社 代表取締役 CTO 山田 玲子

ATR CALL はATRにおける外国語音声学習技術の研究開発から生まれたシステムです。フラグシップモデルである『ATR CALL BRIX』は、様々なレベルの教材を揃えていること、発音評定エンジンを搭載し、発音/スピーキングの練習も可能であることなどを特徴としたeラーニング英語学習支援サービスです。学校と自宅でシームレスに使用できるため、COVID-19パンデミックによる学校閉鎖の際には「学びを止めない」ことを目指し、ライセンスを無償提供したところ、300校を超える学校に使っていただきました。また、Web会議による双方向オンラインレッスンである『ATR CALLオンライン講座』もサービスインし、知識の定着、深化ならびに英会話要素を取り入れました。本講演では、様々な学習技術をブレンドすることによるwith/postコロナの時代に役立つ外国語学習方法について考察いたします。

セミナーセッション
電波COE特別企画

波動工学研究所、適応コミュニケーション研究所は京都大学と共同で電波COE研究開発プロジェクトに取り組んでいます。本プロジェクトは、無線技術の将来を担う研究者・技術者の育成を目的として、産官学による研究開発、先端無線研究環境の外部開放、メンターによる研究指導や啓蒙活動を推進しています。今回のオープンハウスでは、電波COEセミナーのメンターによる講演と、2件の技術講座を設けています。

11月5日(木)
技術講座1:Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)入門

適応コミュニケーション研究所

昨今対応機器を目にすることも増えてきた、第6世代のWi-Fi、Wi-Fi 6について解説します。今や広く普及しているWi-Fiですが、これまでの進化の歴史を振り返りつつ、Wi-Fi 6において追加された新たな機能について解説します。そもそも5Gと何が違う?と言った基本的な話題から、Wi-Fi 6のベースとなる無線通信規格であるIEEE 802.11axや、米国での6GHz帯の開放(Wi-Fi 6E)など、関連する話題についても掘り下げます。また、Wi-Fi 7に相当するIEEE 802.11be規格の標準化も開始されており、その動向についても紹介します。開発者やユーザの視点も交え、専門でない方にも分かりやすく解説します。

技術講座2:無線ネットワークモニタリングのためのセンシングと可視化システム

適応コミュニケーション研究所

製造、流通、医療等の分野でのInternet of Things (IoT)の普及とともに無線通信の活用が進んでいます。特に無線LANは対象空間内に閉じた無線環境の構築が比較的容易なことから、産業分野での導入が一層加速しています。一方で無線LANでは自律分散型のメディアアクセス方式が用いられることから、トラフィックの集中や電波の干渉が発生すると、通信が不安定になる場合があります。本セミナ―では、安定した通信を実現するための無線モニタリングシステムに関してATRでの研究開発の取り組みを紹介します。

11月6日(金)
メンター講演:「和の国、情の国」~日韓の企業で感じた文化的相違~

元中部大学工学部 教授 宮本順一

宮本様は、東芝において半導体の研究開発、マネジメント等でご活躍されたのち、韓国サムスン電子に移られ活躍されました。ご講演では、韓国滞在中、折に触れ感じた日本と韓国の文化的相違、そして、勤務しながら感じた純日本的な企業と、韓国文化に立脚しながら欧米風のマネジメントスタイルをとるサムスン電子の社風との相違を、ご自身のご経験にもとづいてご講演いただきます。

<宮本順一 氏 ご経歴>
1975年 京都大学工学研究科電子工学専攻修士課程修了、株式会社東芝入社
2009年 韓国サムスン電子、フラッシュ開発室、顧問
2012年 中部大学学長付特任教授
現在 中部大学非常勤講師

ATR CALL 英語オンライン講座
11月6日(金)

『ATR CALL BRIX』での学習を支援・補強するために開講しているWeb会議システムを使ったライブレッスン 『ATR CALLオンライン講座』を、「オンライン参観」型と皆様にご参加いただける「授業体験」型の2つのセミナーを通してご紹介します。

小学生を対象としたレッスン【オンライン参観】

ATR Learning Technology 株式会社

奈良学園小学校の児童が受講するライブレッスンの参観を通して、オンライン講座をご紹介します。本講座は楽しく知識を深化させることをモットーとし、講師による語彙表現・文法等に関するレクチャーに加え、発音練習、英会話練習等を行います。各レッスンの内容はeラーニングシステム『ATR CALL BRIX』のユニットに対応しており、個別学習とオンラインの集合学習がブレンドされた新しい学習の形を提供しています。

高校生~大人を対象としたレッスン【授業体験】

ATR Learning Technology 株式会社

実際に皆様にご参加いただける体験レッスンを開講します。講師によるレクチャー、高校レベルの語彙レッスンとスピーキング練習を行います。参加者には声を出していただきますので、ヘッドセットをご用意ください。京都府立京都すばる高等学校の生徒さんも一緒に受講して頂く予定ですが、小学生から社会人までどなたでも大歓迎です。

けいはんなATRファンドセッション
けいはんなATRファンドについて11月5日(木)
けいはんなATRファンドの最新状況

事業開発室 担当部長 坂野寿和

けいはんなATRファンドは、ATRの研究開発成果活用やATRとの連携により新たな付加価値提供を目指す有望なベンチャー企業の支援を目的として2015年に創設されました。創設以来、ATRが得意とするロボット技術分野、ICT/AI分野、無線通信分野などにおいてベンチャー企業への出資、ATRとの連携推進などを行ってきました。これまで出資したベンチャー企業は15社に上り、いくつかの企業とは継続的な共同開発などが進められています。講演では、ファンドの概要、これまでの取組みと到達点についてご紹介します。

出資企業プレゼンテーション
11月5日(木)13:10~13:50 (約15分/社)

Blue Earth Platformを活用したソリューションの紹介

ブルーイノベーション株式会社 代表取締役 熊田 貴之

ブルーイノベーションが開発している複数のドローンやロボットを遠隔制御できるプラットフォームBEP(Blue Earth Platform)を活用した、点検ソリューション、警備ソリューション、屋内倉庫在庫管理、物流ソリューションの最新情報をご紹介します。

ニューノーマルに共感型ロボットの“癒し”を。
パートナー企業のロボット活用支援プログラムBOCCO emo for Biz 始動

ユカイ工学株式会社 代表取締役 青木 俊介

ユカイ工学は、家族をつなぐコミュニケーションロボット「BOCCO(ボッコ)」の次世代機である、「BOCCO emo(ボッコ エモ)」を開発中です。「BOCCO emo」は呼び掛けたときに話者に対して顔を向けて聞く(ハンズフリーでの音声認識)、オリジナルの名前での起動(トリガーワード変更)等、感情豊かに利用者に共感するコミュニケーションロボットです。「BOCCO emo」を基に、ロボット活用ビジネスを立ち上げやすくするため『BOCCO emo for Biz』を開設します。また、本プログラムへ参画いただける「サービスパートナー」と「テクノロジーパートナー」を募集します。

事業進捗について

スマートスキャン株式会社 代表取締役 濱野 斗百礼

クリニックをプロデュースして2年9ヶ月の実績と今後について説明したいと思います。 スマート脳ドックの検査実績数やオプション検査の実績、来年開院する2院についてと、現在スタートしている世界初のMRIのシェアリングエコノミーについてや今後の新しい取り組みについてお話ししたいと思います。