ATR オープンハウス2021

11.12[FRI]

講演

ATR創立35年の
温故知新
代表取締役社長 浅見 徹さんの写真

代表取締役社長浅見 徹

ATRは事業の中心を基礎研究を据えたユニークな株式会社です。 利潤追求の株式会社と事業内容に乖離を抱えながら創業35周年を迎えることができたのは、ひとえに関係各位の温かいご支援・ご協力、優秀な先輩諸兄・研究者の努力の賜物と思います。この講演では、現在からバックキャストする形で、昨今ようやく実用化された光衛星間通信、音声翻訳、VRを使った臨場感通信などの具体的テーマを題材に、35年前のATR創業期に何を考えて研究テーマを考え、どう進めてきたかを紹介します。次に、フォアキャストする形で、2050年にどのような夢を見て研究しようとしているのか、また、その最初のステップとして、大阪・関西万博にどのような貢献をしたいと考えているか、抱負を述べます。

複数データ統合による
脳情報の可視化
脳情報解析研究所 計算脳イメージング研究室 室長 山下 宙人さんの写真

脳情報解析研究所 計算脳イメージング研究室 室長山下 宙人

脳研究の目的の1つは、感覚・思考・運動などさまざまな脳情報処理がどこでどのように行われているのか解明することです。ATR計算脳イメージング研究室では、特性の異なる複数の脳活動計測データを機械学習アルゴリズムを用いて統合することにより、1秒以内のごくわずかの時間の間に、脳がどこでどのような処理を行っているのかを可視化する技術の開発に取り組んできました。本講演では、時間分解能に優れた脳波・脳磁図データと空間分解能に優れた機能的MRIデータを統合して脳内の電気活動を可視化する VBMEG法と、VBMEG法を拡張し構造結合上に電気活動をマッピングする電流伝達マッピング法を紹介します。

生体精密情報
デジタルツイン
佐藤匠徳特別研究所 所長 佐藤 匠徳さんの写真

佐藤匠徳特別研究所 所長佐藤 匠徳

バーチャル空間に個人の生体情報レプリカを再構築する「生体精密情報デジタルツインシステムにより、誰もが、いつでも、どこにいても(平時でも、災害時、パンデミック時でも)、一人ひとりがリアルタイムで高精度な予防医療・先制医療を享受できることが可能になります。本講演では佐藤匠徳がバイオ/数理情報/工学/臨床医学の各分野の研究者をとりまとめ、ワンチームで推進する生体精密情報デジタルツインシステムの研究開発について紹介いたします。

大阪・関西万博に向けた
グローバルオープン
イノベーション拠点の構築
経営統括部・事業開発室 代表取締役専務 鈴木 博之さんの写真

経営統括部・事業開発室 代表取締役専務鈴木 博之

開催が4年後に迫った大阪・関西万博では、”世界中の「いのち輝く未来」が集う万博”、”未来の技術と社会システムが見える万博”が基本計画の特徴として設定されるなど、科学技術やイノベーションへの期待やその果たすべき役割には大きなものがあります。本講演では、イスラエル、インド、ニューヨーク、カナダ、バルセロナなどの海外イノベーション拠点との連携に基づき実施中のスタートアップアクセラレーション(KGAP+)や企業との事業化プロジェクト創出支援(KOSAINN/KOSAINN+)を代表とする国内外のスタートアップへの支援プログラムを通じたグローバルオープンイノベーション拠点の構築に向けた活動とその大阪・関西万博へのインパクトについて紹介します。

赤ちゃん型
インタラクション技術で描く
新たなコミュニケーション
介護支援
石黒浩特別研究所 グループリーダ 住岡 英信さんの写真

石黒浩特別研究所 グループリーダ住岡 英信

本講演では、乳幼児との対話が介護および介護施設にもたらす効果に着目した「赤ちゃん型ロボット」によるコミュニケーション介護支援について紹介します。介護施設では、コロナ禍により高齢者と外部(家族を含む)とのコミュニケーションが制限されるなど、高齢者も介護者も精神的な負担が増加しており、これまでと異なるコミュニケーション支援が急務になっています。我々の研究グループでは、乳幼児との対話から得られる精神面へのポジティブな効果等に着目し、介護施設の協力のもと、赤ちゃん型ロボットおよび赤ちゃん型インタラクション技術を研究開発しています。本講演では、これまでの取り組みや、介護施設へもたらす新たな価値について述べ、赤ちゃん型ロボットと共生する介護施設の未来像について議論します。

量子コンピュータによる
暗号解読への対策
適応コミュニケーション研究所 所長 横山 浩之さんの写真

適応コミュニケーション研究所 所長横山 浩之

近年、量子コンピュータの研究開発が急速に進んでおり、近い将来、暗号化されたデータが容易に解読されてしまうのではないかと心配されています。2030年以降の無線通信システムが採用する暗号技術は、現行のコンピュータに加え、量子コンピュータに対しても安全性を確保する必要があります。本講演では、量子コンピュータの研究開発の現状を解説し、私たちが普段の生活で使用している2種類の暗号、共通鍵暗号と公開鍵暗号について、どれくらい安全性が低下するリスクがあるのか、どのような対策が必要であるのかを説明した上で、そのためにATRが取り組んでいる研究開発をご紹介します。


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