ATR OPEN HOUSE 2025 ロゴ

社長挨拶

GREETING

大阪・関西万博(EXPO2025)が現在進行中ですが、開催決定直後の2019年に松本紘ATR前会長(当時は理化学研究所理事長)が「けいはんなで万博を考える会」を立ち上げ、2020年にけいはんなの企業のテーマ案と住民が実施するテーマ案をまとめて万博協会に報告いたしました。以来、ATRは企業テーマとして「誰もが自在に活躍できるアバター共生社会」を掲げた石黒浩シグネチャーパビリオンの考えに共鳴し、それを支援する形で万博に貢献してきました。
住民のテーマが「けいはんな万博」の形でまとまったのは、2022年に松本紘ATR前会長が会長に就任した「けいはんな万博開催準備会」からです。これが、2023年の「けいはんな万博2025運営協議会」の旗揚げにつながりました。いくつかある部会の中から、ATRはロボット・アバター・ICT部会とスタートアップ部会を中心に活動してきました。
課題先進国日本と言われますが、最大の課題は少子高齢化と思います。これに関しては色々な論点がありますが、最も大きな事実は、約2,500万人いる健康な高齢者の多くが社会的に孤立していることです。健康な高齢者は時間も場所も超越して社会貢献できる潜在力があります。その人たちが充実した生活をすることができれば、生産労働人口7,000万人の我が国の経済にも好影響を与え、何よりも若者が未来に希望を持てるはずです。ベッドタウンに逼塞している老人をいかに行動変容させるかは、万博が掲げる「いのち輝く未来社会」建設の鍵を握っています。
ATRは、脳科学、ロボット、生命科学、無線が研究テーマですが、いずれも色々な視点からのネットワークの研究で、それぞれ神経ネットワーク、人を含む社会ネットワーク、臓器間あるいは細胞間のネットワーク、電気通信のネットワークに対応しています。社会ネットワークをより高いレベルで究明することは、今なお残された文理融合の研究課題の中でも、最も重要なものの一つと言えるでしょう。
少子高齢化社会を構成する人間に着目し、健康長寿社会を目指し技術に裏打ちされた行動変革を促していきたいと考えています。
今年のATRオープンハウスは、「社会課題と向き合う科学技術の最前線」と題して開催いたします。お越しいただき、万博以後の研究に関して意見交換できれば幸いです。

株式会社国際電気通信基礎技術研究所
代表取締役社長
浅見 徹