「ATRオープンハウス2022」にご来場いただき、誠にありがとうございます。武漢から始まったCOVID-19パンデミックもまだまだ油断できませんが、今年はハイブリッド開催となり、３年ぶりにリアル開催もできることになりました。今年2月に始まったロシアのウクライナ侵略と合わせ、過去３０年ほど安心・安全な社会を希求してきた日本社会の基盤は大きく揺らいでいます。ファウストの言葉を借りるならば「協同の意志こそ人知の至りつくところであって、日ごとに努める者は自由に生きる資格がある（池内紀訳）」をもう一度噛みしめる時期に来ていると感じます。多様性に価値を見出すにしても、私たちは日ごと何に努める必要があるでしょうか。
情報化社会の到来を見据えて創業したATRは、通信のネットワークに始まり、脳内ネットワーク（脳情報科学）、体内ネットワーク（生命科学）、社会ネットワーク（ロボット、アバター）の研究へと発展してきました。様々なネットワークのダイナミクスの研究開発が弊社事業の根幹にあります。少子高齢化社会においては、子育てと社会における自己実現の両立も求められます。ATRは、社会を構成する人間に着目し、技術に裏打ちされた自己の行動変革を促していきたいと考えています。オープンハウスでは、各分野におけるATRの研究や対外連携に関して、事業開発や協業会社の取り組みとともに紹介いたします。ハイブリッド開催の利点を活かし、発表コンテンツを長期公開することにいたしました。時間と場所の制約から解放されて、ATRの研究と事業を考える機会にしていただければ幸いです。
今年度も、「けいはんな R&D フェア」、「京都スマートシティエキスポ」、「けいはんなビジネスメッセ」との連携で開催します。ATRの研究開発・事業以外の情報も豊富です。幅広くご覧ください。

株式会社国際電気通信基礎技術研究所
代表取締役社長
浅見 徹