プレスリリース

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[報道発表]
ロボットがぐっと身近になりました!!
-動作が簡単に作れる大小2種類のロボットを開発・販売-


(株)国際電気通信基礎技術研究所  平成15年10月28日

(株)国際電気通信基礎技術研究所(けいはんな学研都市 社長 畚野信義、略称ATR)の知能ロボティクス研究所 (所長 萩田紀博)は、ロボットの大きさに関わらず、動作が簡単に作れる、ロボット動作編集ソフトウェア 「シナリオエディタ」を開発しました。また、これを搭載した大小2種類のロボットを開発しました。 大きい方のロボットの名称はRobovie-R(ロボビー・アール)と呼び、 人とロボットのコミュニケーションを研究するためのコミュニケーション・ロボット・プラットホームです。 小さい方はRobovie-M(ロボビー・エム)と呼び、ものづくりを体得したい学生、研究者、 技術者のためのヒューマノイド・ロボット・プラットホームです。いずれも本日10月28日からヴイストン株式会社( 大阪市 社長 大和信夫)を製造・販売元として、販売を開始します。

(図 1) シナリオエディタ(Robovie‐Rの場合)

ATRは、人間とロボットの自然なコミュニケーションの実現を目指し、日常活動型ロボット*1Robovie(ロボビー)シリーズを開発してきました。その中でRobovie-II(ロボビー・ツー、2000年12月に開発)は、コミュニケーション・ロボット・プラットホームとして20台ほどが研究機関や大学で利用されています。Robovie-IIの頭や腕の動作は、ATR開発の“モーションエディタ”と呼ぶ動作編集ソフトウェアを使って作成してきました。しかし、触れられたところをすぐに見る、障害物をよけるなどの反射的な動作や移動を伴う複雑な動作は、特殊なコンピュータ言語やロボット固有のハードウェアを理解していないとうまく作れませんでした。そのため、ロボットの大きさや自由度が変わるとそれ専用のモーションエディタをその都度、開発しなくてはなりませんでした。今回発表する“シナリオエディタ”(図1参照)は、モーションエディタの問題を解決して、ロボットの大きさや自由度が変わっても、エディタを使って直感的な操作でロボットの頭や腕をその場で動かしながら、複雑なシナリオ動作を作成できる点に特長があります。具体的には、モーションエディタの持つコミュニケーション動作の作成・再生機能だけでなく、複数の動作を順番に自動再生する(シナリオ再生)機能や、各シナリオの中で、移動中に障害物をよける等の反射動作(リアクティブ・モジュール*2)機能、各センサ出力のリアルタイム表示機能などを持っています。また、これらの機能を、図1に示すように、各関節部分に対応したスライダを左右に動かすだけでだれでも簡単に操作する事ができます。このシナリオエディタを利用すれば、今までロボットを扱ったことのない人でも、ロボットの動作を簡単に作成して、いろいろなモーションをテキストファイルとして保存することができます。このファイルがあれば、ロボット間でさまざまな動作パターンを共有することができるようになるので、ロボットのためのコミュニケーション動作編集プラットホームができたといえます。さらに、ロボビーシリーズの最新2機種Robovie-RおよびRobovie-Mに、このシナリオエディタを搭載しました。両機種は大きさや自由度が異なるロボットですが、シナリオエディタを搭載したことによって、どちらも直感的な操作でコミュニケーション動作を生成することができます。

(図2)“Robovie-R” (図3)“Robovie-M”
まず、普及版日常活動型ロボット“Robovie-R”(図2参照)は、 Robovie-II(全高1140mm)に比べて、自由度(頭部3自由度、腕各4自由度、車輪移動機構)は同じで身長(全高1100mm)もほぼ同じ、同等のセンサ情報(前方カメラ・全方位カメラ・マイク・接触センサ・距離センサ)を取得できます。表面外装は、Robovie-IIに比べて関節挟み込み防止などの安全性やコミュニケーション時の人との親和性を高めたデザイン(高橋智隆氏、ロボ・ガレージ 代表、京都大学VBLによる)を採用しました(図2参照)。さらに、価格は従来のRobovie-IIの半分以下(販売価格480万円[別途消費税]。アカデミックディスカウント有り)に設定しました。コミュニケーションロボットプラットホームとしてより広く普及することを目指します。それぞれRobovie-Rの製造・販売はヴイストン株式会社が、ハードウェア部分の製造は株式会社イクシスリサーチ(川崎市 社長 山崎文敬)が担当します。当面、10台を限定販売します。
次に、“Robovie-M”(図3参照)は、2足歩行が可能な小型のヒューマノイド・ロボットで、ロボット研究を志す高専や大学(院)の学生やロボット関連研究者、技術者向けに開発したヒューマノイド・ロボットの組み立て教材です。ハードウェア部分はヴイストン株式会社が開発した小型ヒューマノイド・ロボットOmniHeadをベースとしており、小型(全高290mm)ですが、22自由度(脚各6自由度、腕各4自由度、腰1自由度、胸1自由度)と姿勢制御に必要な2軸加速度センサを持っています。シナリオエディタを搭載していますので、ロボット製作をハードウェアとソフトウェアの両面から楽しめる組み立てキットとして、販売価格39万8千円[別途消費税]で当面100台を限定販売します。製造・販売はヴイストン株式会社が行います。

さらに、Robovie-R 、Robovie-Mおよびシナリオエディタを多くの人に使ってもらうために専用ホームページや講習会も開きます。ホームページでは、使い方やトラブルのFAQだけではなく、ロボットの様々な動作をファイルとして公開する予定です。ユーザ会員になるとホームページ上の動作ファイルをダウンロードする事で、自分のロボットで動作を試すことができ、またそれを基に動作を自分専用にカスタマイズすることもできます。講習会では、組み立てキットであるRobovie-Mの組み立て方や配線の仕方、Robovie-MやRの動作シナリオの作り方などを、実際にロボットを組み立て、動かしながら紹介することで、ユーザの理解を深めます。
なお、本件の開発部分は通信・放送機構(TAO)の研究委託により実施したものです。

シナリオエディタ、Robovie-RおよびMの開発・製造・販売元は以下の通りです。

・シナリオエディタ、Robovie-RおよびM の開発元:ATR
・Robovie-RおよびM 製造・販売元:ヴイストン株式会社(代表取締役 大和信夫)
         住所 大阪市此花区島屋4-2-7
            TEL 06-6467-6601/FAX 06-6467-6602
・Robovie-Rハードウェア製造元:株式会社イクシスリサーチ(代表取締役 山崎文敬)
            住所 川崎市幸区南加瀬4-17-14
TEL 044-589-1500/FAX 044-589-1501
 ・Robovie-Rデザイン:ロボガレージ代表 高橋智隆
            住所 京都市左京区吉田本町京都大学VBL
            TEL/FAX 075-753-7593
E-Mail info@magdan.net

○ 用語の説明
*1)日常活動型ロボット:従来の産業用ロボットのように、整備された環境の中で決められた作業だけを行うロボットではなく、私たちの日常環境において、私たちの生活を様々な形で支援してくれるロボットのこと。そのためには人間と円滑にコミュニケーションをする能力が最も重要になります。

*2)リアクティブ・モジュール:私たちも自分の腕や肩を触られるとそちらの方を瞬時に向こうとします。リアクティブ・モジュールはこのような反射的な動作をロボット内にモジュール化したもの。例えば、ロボットが人に触られたところをすぐに見る動作や、障害物をよける動作、動いているモノを見る動作などがあります。このモジュール機能があると、ロボットの動作がより自然に見えます。


本件は学研都市記者クラブ(会見)、大阪科学記者クラブ(会見)、総務省記者クラブ(資料配付)及び情報通信記者会(資料配付)にそれぞれご案内いたしました。

問い合わせ先  (株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)
総務部秘書・広報担当 水神、北野まで  ℡ 0774-95-1114
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※現在Robovieシリーズは、株式会社ATR-Robotics にてお取り扱いしております。

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