ATRの新たな基本理念&社長ご挨拶

新たな基本理念

ともに究め、明日の社会を拓く
情報通信関連分野の先駆的研究とイノベーション創出で課題解決に取り組む
私たちの存在価値
私たちの文化
●研究機関の視点でイノベーションエコシステムの発展に寄与します
●社会課題に加え、創出型課題に取り組みます
●先見力と挑戦心をもつ人材を輩出します
※創出型課題:研究者自らが見出し挑戦する課題
●他機関との協働や人材交流をオープンに推進します
●国際的見地で価値を追求します
●けいはんな学研都市の発展に中核的な役割を果たします


ご挨拶

令和 7年
株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)


Asami

 代表取締役社長 
 浅見 徹 
 明けましておめでとうございます。
 今年は、万博の年です。比較される1970年に開催された大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」で自然の「利活用」と生活の向上が目標でした。三種の神器の消費生活というモノ中心だったこの万博は、水晶宮博覧会とも呼ばれ、鉄とガラス技術の誇示が事実上のテーマだった1851年のロンドン万博の延長線上にあったと言えます。
 大阪・関西万博2025のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。サブテーマが「いのちを救う」、「いのちに力を与える」、「いのちをつなぐ」で色々なパビリオンが企画されていることはWeb記載の通りです。モノから生きがいのような生活に関わるテーマに持ってきたところに、万博の進化が見られます。
 残念ながら、前回と比べ興味がないという人が多い今回の万博ですが、興行とみなせばそういう態度もあり得ます。しかし、国家予算を使ったイベントと考えると、有権者としてはもったいないと感じます。お祭りと考えれば昔から全員参加のインクルーシブな創造活動になります。どちらが得かよく考えてみたい。テーマ関連の展示だけに注目するのももったいないと感じます。部品の標準化という地味な出展がその後の大量生産につながったロンドン万博、会場の観客サービスから日本全国に広まったファーストフード店の端緒になった大阪万博と考えると、意外なものが未来を作っています。そのようなものに気づきを与えてくれるのも万博だと思います。
 大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「命の未来」では、アバターを仲立ちに社会生活を円滑・拡張する「アバター共生社会」の展示が石黒浩特別研究所長中心に企画されています。ATR職員は、ぜひ訪問し、理念の共有に努めてほしいと思います。またこの万博に触発されて「けいはんな万博」というサテライト・イベントが「けいはんな学研都市」の市民を中心に企画されています。これは、展示するものより展示を企画する一般市民の背中を、次世代を担う子供たちにアピールすることが目的だと、私は感じております。 様々な好奇心あふれた人々が集い交流して創造活動することができれば、シンギュラリティ以降の未来は明るいでしょう。
 少子高齢化が問題という評論家もいますが、解決すべきは少子化であり、高齢化は人類の有史以来の目標だったはずです。少子化問題を長寿な市民の活躍で補うことができれば、経済的にも個人の生きがいの面でも有意義でしょう。大阪・関西万博の目標「いのち輝く」は、人生百年の最後の十年・二十年を無言の業で過ごす現在の日本人の状況を考えると誠に時宜を得たものです。この理念の実現こそが、万博のレガシーとして残すべきもので、全社をあげて推進すべき目標と考えます。
 引き続きATRをよろしくお願い申し上げます。