プレスリリース

ドライバーの運転技能を客観的に評価するシステムを実用化
~ユビキタスセンシング技術と行動理解技術で安全運転技能向上のアドバイス~

2008年7月28日
会社名 株式会社国際電気通信基礎技術研究所
代表者名 代表取締役社長 平田 康夫
会社名 有限会社 山城自動車教習所
代表者名 代表取締役社長 中田 隆司
株式会社国際電気通信基礎技術研究所(本社:京都府相楽郡精華町「けいはんな学研都市」  代表取締役社長:平田康夫 以下ATR)と有限会社 山城自動車教習所 (本社:京都府綴喜郡井手町 代表取締役社長:中田隆司)は共同で、ドライバーの運転技能を自動評価し、 予防安全の観点から改善ポイントのアドバイスをしてくれるシステムを開発しました。 これを運転教育のプログラムに組み込み、 山城自動車教習所では8月20日からプロドライバー向け講習に使用を開始します。
本システムは、安全運転教育の専門家が持つ知識を体系化し、その知識にもとづいてドライバーの運転技能を 自動的に評価します。そのうえで、ドライバーの技能に改善すべき点があれば自動的に指摘し、 技能向上のためのアドバイスをします。
このシステムは自動車に改造を加える必要がなく、小さなセンサをドライバーの帽子や靴に取り付けるだけで 使用できます。これらセンサにより運転時の安全確認の動作や加減速動作などを計測し、即座に分析して刻々の 走行状況と対比させるものです。従来の指導方法では、指導者の主観によるばらつきやプロのドライバーへの 説得性の点で指導効果の壁がありましたが、今回のシステムではコンピュータによる評価が客観的な基準で 行われるため、効率的・汎用的な教育効果が期待されます。
今回は教習所でおこなう講習での実使用を開始しますが、今後は幅広い事業所での教育に簡便に取り入れる ことのできるシステムの開発をめざします。

開発システムの概要
本システムは、小型のジャイロセンサ(本体部:38.0mm(W)×39.0mm(H)×10.0mm(D) ,17.2g,図1)、GPS受信機、データ計測・解析用のPCからなります。小型のジャイロセンサは、 ドライバーの帽子や靴に取り付け、運転中の一挙一動を計測します。GPS情報により、過去に事故が 多く発生している危険地点や交差点などにさしかかったことを検知すると、ジャイロセンサからの出力を 解析し、ドライバーが危険を事前に予測して、十分な減速、左右確認を行っているかどうかをチェックし、 その達成度によってドライバーの運転技能を自動評価します。運転技能評価に用いるチェック項目は、 安全運転教育の専門家によって定められています。
図2は本システムの評価結果表示画面の例です。結果表示の際、システムは危険箇所におけるドライバーの 運転挙動データを波形表示するだけでなく、波形解析に基づく運転者の挙動推定結果 (どの時点で右方向振り返り確認をしたなど)や車両状況推定結果(どの時点で交差点に進入したかなど)も テキスト情報としてグラフ上に自動表示します。また、チェック項目の達成度に基づき,どのような点を 改善すべきかについてもテキスト情報として表示します。

本技術の一部は、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の民間基盤技術研究促進制度により ATRが受託したプロジェクト「日常行動・状況理解に基づく知識共有システムの研究開発」の成果です。

ドライバーに取り付けたジャイロセンサ
図1 ドライバーに取り付けた ジャイロセンサ

運転席前方の視野運転席前方の視野

評価項目例
システムの評価結果表示画面例
図2 システムの評価結果表示画面例