プレスリリース

2014年03月20日

車いす型ロボットによる被介護者の移動支援サービス
~介護者負担の軽減を実現するロボットサービスの実現と実用化に向けた検証~
株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)
株式会社 ATR-Promotions
オリックス・リビング株式会社


 株式会社国際電気通信基礎技術研究所(以下「ATR」、本社:京都府相楽郡精華町「けいはんな学研都市」、代表取締役社長:平田康夫)、株式会社ATR-Promotions(以下「ATR-P」、本社:京都府相楽郡精華町「けいはんな学研都市」、取締役社長:田中浩)は、高齢者(被介護者)と介護者の双方にとって使いやすい介護ロボットサービスを実現するために、オリックス・リビング株式会社(以下「OL」、本社:東京都港区芝2丁目2番15号、代表取締役社長:森川悦明)の協力を得て、「ユビキタスネットワークロボット・プラットフォームによる介護施設における高齢者の見守り・移動支援サービス実証事業」(注)を進めています。この度、ATRは車いす型ロボットを用いて、介護者にとって負担の大きい、被介護者の移動支援を半自動化する取り組みを進めて参りましたので、平成26年3月20日に報道機関の皆様に向けたデモンストレーションを実施いたします。なお、本事業は、平成24年度補正予算「ICT超高齢社会づくり推進事業」の一環として総務省の委託を受け、ATR及びATR-Pが平成25年度(委託終了日:平成26年3月15日)に行ったものです。

 車いすを利用した移動支援は、足が不自由な被介護者の日常生活において必要不可欠なサポートであるとともに、閉じこもりや健康状態の悪化を防止するための重要な意味合いを持っています。しかしながら、介護者にとっては時間的拘束が長く、かつ身体的負担の大きい作業であることは否めません。足が不自由な被介護者にとっても、移動支援を繰り返し介護者に依頼することは、「気兼ねしてしまう」「申し訳ない気持ちになる」などの心理的障壁が存在しています。そこで、「介護者に気兼ねなく、安全かつ自由に移動したい」という被介護者のニーズを満たしつつ、介護者の時間的・身体的負担の軽減を図るために、場所に応じた発話が可能な車いす型ロボットによる移動支援技術を開発しました。これまでにOLの協力を得て進めてきた高齢者を対象とする実証試験を通じて、「人が車いすを押して移動する場合や、発話しない車いす型ロボットによって移動する場合よりも、発話する車いす型ロボットの方が移動支援の依頼をしやすい(気兼ねなく依頼できる)」「発話する車いす型ロボットは、移動する際の安心感がある」といった好意的な評価を得ており、今後はATR-P主導の元、OLによる現場への技術導入を見据え、移動支援サービスの事業化及び継続的な技術開発を進めます。

【デモンストレーション内容】
 報道機関の皆様には、ATRの電動車いす型ロボット(写真1)が、介護施設を模した実験施設(オリックス・リビング イノベーションセンター)において、高齢者の移動支援を行うデモンストレーションをご覧いただきます。ロボットは介護士が操作する携帯端末からの指令を受けて、ロボットに移乗された高齢者を自動で寝室や浴室へとお連れします。
 ロボットは、単に移動をするだけではなく、場所に応じた発話を行うことで、搭乗している高齢者が安心できるように情報提供を行います。たとえばスロープの前では「少し傾きますよ」といった発話や、狭くなっているドアの前では「ここはちょっと狭いですよね」(写真2) などと発話します。

電動車いす型ロボットを利用される高齢者の方の様子
図1 電動車いす型ロボットを利用される高齢者の方の様子


ロボットが場所に応じて発話を行うイメージ
図2 ロボットが場所に応じて発話を行うイメージ


(注)本事業は、平成24年度補正予算「ICT超高齢社会づくり推進事業」の一環として総務省の委託を受け、ATR及びATR-Pが平成25年度(委託終了日:平成26年3月15日)に行ったものです。


デモンストレーション案内