プレスリリース


BMI利用ガイドラインの作成がスタート
~誰もがブレイン・テックを正しく理解して安全に使える社会へ~

2021年 07月 30日
株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)
株式会社アラヤ

ムーンショット型研究開発事業のムーンショット目標1の研究開発プロジェクトである「身体的能力と知覚能力の拡張による身体の制約からの解放」(プロジェクトマネージャー:金井良太、代表機関:株式会社国際電気通信基礎技術研究所、以下、ムーンショット金井プロジェクト)の一環として、2021年7月よりブレイン・マシン・インターフェース(Brain-Machine Interface: BMI)注1)利用ガイドライン作成委員会(課題推進者:金井良太、株式会社アラヤ)を設置し、活動を開始しました。本ガイドラインによって、社会でのブレイン・テックに対する適正な理解向上と安全な利用促進が期待されます。
<背 景>
「ブレイン・テック」と呼ばれる脳科学の知見とテクノロジーの融合を活用したヘルスケアは、2025年には5.2億米ドルに成長する新興市場です。快適な睡眠、効率的な学習、気分の浮き沈みの緩和、ストレス管理など、ブレイン・テックは今後、一般生活者にとって身近なものとなり、利用機会が増えていくと予想されます。その一方で、ブレイン・テックは発展途上な市場のため、「どのような人に、どれくらい効くのか?」(有効性)ということや、「副作用はないのか?」(安全性)といったことに関する、科学的なエビデンスが不足していることも否めません。

そこで、今の科学でわかっていることを理解しやすくまとめ、そのエビデンスに基づいた利用指針を示すために、このたび、ムーンショット金井プロジェクトでは、BMI利用ガイドライン作成委員会を設置し、活動を開始しました。
<活動内容>
本活動においては、脳科学の知見を応用したプロダクトやサービスを起点として、利用されている生理指標や介入効果に関する、科学的な有効性と安全性の根拠をシステマティック・レビューによって分析します。そして、現在の知見から言えること、わからないこと、今後の発展に必要なことを整理して、文章として公開していきます。

また、このようなBMI利用ガイドラインは、国際的にその必要性が強く認識されています。そこで、作成したガイドラインをもとに、ブレイン・テックの信頼性を評価する方法の国際標準化を目指した活動も進めていきます。なお、本活動では、ブレイン・テックに用いられている指標や介入による効果は評価しますが、個別製品の評価は対象としておりません。

こうした取り組みによって、一般の利用者がブレイン・テックを適正に判断して安全に利用することが可能となります。さらに、ブレイン・テックのメーカーや科学者に対しても、適正な開発とエビデンスの構築を促すことにつながります。ブレイン・テックが社会から支持され、共に歩む存在として認められるために、「BMI利用ガイドライン」の策定を通じて、社会におけるブレイン・テック利用の信頼獲得を実現します。

■BMI利用ガイドライン作成委員会統括委員
金井良太(代表、株式会社アラヤ)、牛場潤一(慶應義塾大学)、武見充晃(慶應義塾大学)、栁澤琢史(大阪大学)、茨木拓也(NTTデータ経営研究所)

BMI利用ガイドライン作成委員会では、すでに本趣旨にご賛同いただいた脳科学の専門家からなるガイドライン作成グループを組織しましたが、そのメンバーについては、評価プロセスの公平性を担保するために、ガイドライン発表時まで非公開としています。

■ムーンショット型研究開発事業について
内閣府が主導する「ムーンショット型研究開発制度」は、超高齢化社会や地球温暖化問題など重要な社会課題に対し、人々を魅了する野心的な目標(ムーンショット目標)を国が設定し、挑戦的な研究開発を推進するものです。
 国立研究開発法人科学技術振興機構の本プロジェクトに関する情報はこちら

■研究開発プロジェクト「身体的能力と知覚能力の拡張による身体の制約からの解放」の概要
人の意図が推定できれば、思い通りに操作できる究極のサイバネティック・アバター(CA)注2)が可能になります。推定には脳活動の内部だけでなく脳表面情報や他人とのインタラクション情報も重要な手がかりになります。これらをAI技術で統合し、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)機能を持つCA(BMI-CA)を倫理的課題に考慮して開発します。2050年には、人の思い通りに操作できる究極のBMI-CAを実現します。
 本プロジェクトのウェブサイトはこちら

<用語解説>
注1)ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)
脳情報を利用することで、脳(ブレイン)と機械(マシン)を直接つなぐ技術(インターフェース)の総称です。

注2)サイバネティック・アバター(CA)
遠隔操作できるロボットやサイバー空間上でのキャラクターのように、自分と感覚を共有し社会活動をおこなうアバターのことを指します。
<本件に関するお問い合わせ先>
■報道全般、ATR全般に関するお問い合わせ
 株式会社 国際電気通信基礎技術研究所(ATR)
 経営統括部 企画・広報チーム
 Tel: 0774-95-1176
 Fax: 0774-95-1178
 E-mail: pratr.jp

■研究開発プロジェクトに関するお問い合わせ
 金井 良太
 株式会社アラヤ 代表取締役
 TEL:03-6426-5144
 FAX:03-6426-5154
 Email:pmobrains.link

(注:は、画像です。)