プレスリリース


2020年 11月 10日
株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)

店員ロボットの実証実験開始!
~マスクをしてないお客様には、店員ロボットが近づき注意します~

  • 株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は、店舗内を移動し、複数のサービスを行う店員ロボットの実証実験を、ATC(アジア太平洋トレードセンター)ITM棟 セレッソ大阪メガストアで開始致します。
  • この店員ロボットは、商品を探しているお客様を商品の場所まで案内するといったお客様の要望に応える「接客サービス」に加え、マスクをし忘れているといったその場にそぐわない、適切でない行為を行っているお客様へロボットから注意を促し、ご協力をお願いする「注意喚起型のサービス」を実現致しました。
  • 今後は、開発した接客サービスおよび注意喚起型のサービスの効果を実証実験を通じて、明らかにしていきます。


図 1 売場までの誘導・案内サービス例


図 2 マスク着用への注意喚起サービス例

概要
 株式会社国際電気通信基礎技術研究所(以下「ATR」、本社:京都府相楽郡精華町(けいはんな学研都市)、代表取締役社長:浅見徹)は、この度、店内を動き回りながらサービスを行う店員ロボットを開発しました。11月10日に、実店舗(セレッソ大阪メガストア 大阪府大阪市住之江区南港北2-1-10)において、店員ロボットが、人々の状況に応じて「売場までの案内・誘導」や「マスク着用への注意喚起」といったサービスを実施する実証実験を開始し、サービスの効果を明らかにしていきます。(図1、図2)。

背景
 少子高齢化に伴う人手不足により、小売店舗の店内や店先などにおいて、商品案内や声掛けといった仕事をロボットが店員の代わりに行うことが期待されています。一方で、店員の仕事は単にお客様の要望に応えるだけではあません。時には、その場にそぐわない、ふさわしくない行為を行っているお客様へ店員から注意を促し、ご協力をお願いする必要があります。特にコロナ禍では、マスクをし忘れているお客様へマスク着用のご協力をお願いする、ソーシャル・ディスタンスを保っていないお客様へ間隔を空けて並んでいただくといった仕事が求められています。人同士の直接的な接触を避ける事が望まれており、店員の代わりとなるロボットへの期待がますます高まっています。

今回の取り組み
 ATRでは、ロボットが人々の日常生活に溶け込み、様々なサービスを行うという人とロボットの共生社会の実現に向けて研究開発を進めて参りました。この度、人とロボットの共生社会の将来像の一例として、実際の店舗内を動き回り、お客様にサービスを提供する店員ロボットを実現し、実証実験を開始致します。店員ロボットは、商品を探しているお客様を商品の場所まで案内するといったお客様の要望に応える「接客サービス」に加え、マスクをし忘れているといったその場にそぐわない、ふさわしくない行為を行っているお客様へロボットから注意を促し、ご協力をお願いする「注意喚起型のサービス」を行います。実証実験を通じて、店員ロボットが提供する「接客サービス」の利用率や、「注意喚起型のサービス」による見守り効果を明らかにします。
 サービスが求められる状況は、いつ、どこで生じるか分かりません。そこで、店員ロボットは店舗内の巡回を自動的に行います。店舗内には狭い通路も多く存在しますが、店員ロボットは店舗内の精緻な3次元地図を構築し、店舗内のお客様の位置も把握することで店内通路の安全な巡回を実現しました。この機能を利用することで、お客様を商品の場所まで連れて行くといったサービスも実現しています。
 マスクをし忘れているお客様や、列に並ぶ際にソーシャル・ディスタンスを確保できてないお客様への注意喚起を行うためには、人々の状態を認識する必要があります。店員ロボットは、店内を巡回しながら自身に装着されたカメラや3次元LiDAR※1を用いて、「マスクをし忘れている」と「ソーシャル・ディスタンスを確保できていない」という行動を、その場に相応しくない行動として認識する機能を実現しました。そのような行動を発見した場合は、店員ロボットの方からお客様に近づき、注意喚起を行います。

今後の展開
 店舗内のような狭い環境を移動しながら、接客サービスと注意喚起サービスを同時に行う店員ロボットの実証実験は、世界でも最先端の試みです。本実証実験を通じて、この新たな店員ロボットが社会に受け入れられるための改良を進めながら、店員ロボットが提供できるサービスの種類を増やし、将来的には、実現した技術をサービスロボット開発に携わる人たちに提供していく予定です。

【用語解説】
 *1:LiDARは、レーザ光線を利用して物体までの距離を計測する技術です。3次元LiDARは、複数のレーザを照射して、3次元の空間情報の計測を行います。

【研究支援】
 本研究開発は、JST 戦略的創造推進事業(CREST) 研究領域「人間と情報環境の共生インタラクション基盤技術の創出と展開」(研究総括:間瀬健二 名古屋大学 教授)、研究課題名「街角環境で共生するロボットのインタラクション基盤技術(研究代表者:神田崇行)」により実施しています。

■株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)について
 本社:〒619-0288 京都府相楽郡精華町光台二丁目2番地2(けいはんな学研都市)
 代表者:代表取締役社長 浅見 徹(あさみ とおる)
 TEL:0774-95-1111
 URL:https://www.atr.jp/
 事業内容:脳情報科学、深層インタラクション科学、無線通信などの情報通信分野と、生命科学に関する研究開発及び事業開発

【本件に関するお問い合わせ先】
<報道全般、ATR全般に関するお問い合わせ>
■株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)
 経営統括部 企画・広報チーム
 TEL:0774-95-1176
 FAX:0774-95-1178
 Email:pratr.jp

<研究に関するお問い合わせ>
■株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)
 深層インタラクション総合研究所 佐竹、神田、冨田
 TEL:0774-95-1492
 Email:satoruatr.jp

<実施施設に関するお問い合わせ>
■アジア太平洋トレードセンター株式会社
 広報企画室
 TEL:06-6615-5753
 Email:m-tanakaatc-co.com

(注:は、画像です。)