明けましておめでとうございます。
今年は、万博の年です。比較される1970年に開催された大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」で自然の「利活用」と生活の向上が目標でした。三種の神器の消費生活というモノ中心だったこの万博は、水晶宮博覧会とも呼ばれ、鉄とガラス技術の誇示が事実上のテーマだった1851年のロンドン万博の延長線上にあったと言えます。
大阪・関西万博2025のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。サブテーマが「いのちを救う」、「いのちに力を与える」、「いのちをつなぐ」で色々なパビリオンが企画されていることはWeb記載の通りです。モノから生きがいのような生活に関わるテーマに持ってきたところに、万博の進化が見られます。
残念ながら、前回と比べ興味がないという人が多い今回の万博ですが、興行とみなせばそういう態度もあり得ます。しかし、国家予算を使ったイベントと考えると、有権者としてはもったいないと感じます。お祭りと考えれば昔から全員参加のインクルーシブな創造活動になります。どちらが得かよく考えてみたい。テーマ関連の展示だけに注目するのももったいないと感じます。部品の標準化という地味な出展がその後の大量生産につながったロンドン万博、会場の観客サービスから日本全国に広まったファーストフード店の端緒になった大阪万博と考えると、意外なものが未来を作っています。そのようなものに気づきを与えてくれるのも万博だと思います。
大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「命の未来」では、アバターを仲立ちに社会生活を円滑・拡張する「アバター共生社会」の展示が石黒浩特別研究所長中心に企画されています。ATR職員は、ぜひ訪問し、理念の共有に努めてほしいと思います。またこの万博に触発されて「けいはんな万博」というサテライト・イベントが「けいはんな学研都市」の市民を中心に企画されています。これは、展示するものより展示を企画する一般市民の背中を、次世代を担う子供たちにアピールすることが目的だと、私は感じております。 様々な好奇心あふれた人々が集い交流して創造活動することができれば、シンギュラリティ以降の未来は明るいでしょう。
少子高齢化が問題という評論家もいますが、解決すべきは少子化であり、高齢化は人類の有史以来の目標だったはずです。少子化問題を長寿な市民の活躍で補うことができれば、経済的にも個人の生きがいの面でも有意義でしょう。大阪・関西万博の目標「いのち輝く」は、人生百年の最後の十年・二十年を無言の業で過ごす現在の日本人の状況を考えると誠に時宜を得たものです。この理念の実現こそが、万博のレガシーとして残すべきもので、全社をあげて推進すべき目標と考えます。
引き続きATRをよろしくお願い申し上げます。

代表取締役社長 浅見 徹
10月3日~10月4日、「万博、そしてその先へ~科学技術が描く未来~」をテーマに「ATRオープンハウス2024」を開催し、無事終了することができました。
6件の講演と66件の展示・デモを通じて、先駆的研究の成果とイノベーション創出に取り組む関連会社・連携機関の事業を一同にご紹介しました。
今回も大勢の方にご参加いただき、厚くお礼申し上げます。
今後も「大阪・関西万博」および「けいはんな万博」との連携を深めてまいります。
引き続きATRの研究・事業活動にご関心賜りますよう、お願い申し上げます。
なお、講演録画と展示ポスターは https://www.atr.jp/expo/index.html で公開しています。
是非ご覧ください。
≪研究開発≫
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「忘れられない」けれど「思い出せない」
恐怖記憶の矛盾する2つの現象を説明するメカニズム解明
ソニーコンピュータサイエンス研究所等と共同で、恐怖体験後の二つの矛盾する記憶効果を包括的に説明するメカニズムを世界で初めて提唱することに成功、本研究成果は、Nature Communications誌に掲載されました。https://www.atr.jp/topics/press_241021.html(2024.10.21) -
機械学習法を用いて自閉スペクトラム症の世代に共通する脳機能結合の特徴を発見
昭和大学等と共同で、先立って開発したうつ病を脳回路から診断予測する手法と多施設から収集された機能的磁気共鳴画像(fMRI)データを用いて、自閉スペクトラム症(ASD)の診断を予測する分類器を開発しました。
本研究結果は英科学誌の『Molecular Psychiatry』に掲載されました。https://www.atr.jp/topics/press_241022.html(2024.10.22)
【受賞】- 一般社団法人日本ロボット学会より、第5回 優秀講演賞を受賞しました。
- 一般社団法人電子情報通信学会 通信ソサイエティ 革新的無線通信技術に関する横断型研究会 MIKA2024 実行委員会より、最優秀ポスター賞 若手部門を受賞しました。
【ご来訪】- フランス・ヴァルドワーズ県の経済・技術・大学訪日団ご一行様が11月14日に来所されました。
- 在関西の総領事館・領事館のご一行様が11月20日に来所されました。
- 関西経済連合会ASEAN経営研修会のご一行様が12月12日に来所されました。
【イベント】-
「第12回けいはんな万博セミナー 未来創造セッション③ スタートアップ」で取りまとめを務めるスタートアップ部会の活動をご紹介します。
(2025年1月31日開催 ※事前に参加申し込みが必要です)
https://www.atr.jp/event/event.html#w20250106
▼ Editor's Note ▼
本年はいよいよ、大阪・関西万博2025の開催です。
けいはんな万博2025等、連携を深めて取り組んでまいります。
本年もATR Newsletterをよろしくお願い申し上げます。
このメールは、ATRからの案内をご希望された方、名刺交換をさせていただいた方、オープンハウスやセミナーに参加いただいた方、OBの方にお送りしています。
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